2017年、ソースネクストより登場したポケトーク。2018年・2019年と立て続けに後継機種が登場するなど、どんどん進化を続けています。そんなポケトークを開発したソースネクストという会社はいったいどんなところなのでしょうか?知られざるポケトークの開発秘話とは?
ポケトークを開発したソースネクストとは
初代ポケトークは2017年にソースネクストより発売されました。その後2018年にポケトークW・2019年にポケトークSと、現行機種が登場。姿かたちを変えながら、進化を続けています。このポケトークを開発・販売しているのが、「ソースネクスト」という会社です。ソースネクストのホームページをのぞいてみると、ポケトークを持つ明石家さんまさんのバナーが目に入りますね。
ソースネクストもともとはPCソフトを開発している会社でした。代表なソフトには「筆王」など。年賀状制作でお世話になったという方も多いのではないでしょうか?他にもメモアプリ「Evernote」もこのソースネクストが手掛けたアプリです。無料で利用できるうえ、PC・スマホのいずれでも使うことができ、共有も簡単。個人利用でもビジネス利用でも大活躍のアプリですよね。
学習ソフトにも力を入れていて、英語学習ソフト「ロゼッタストーン」もソースネクストの主力製品の1つ。PCスマホの両方に対応していて、好きなタイミングで気軽に英会話を学ぶことが可能です。
そんなソフトウェア開発を中心に展開していたソースネクストが、今度はハードウェア開発に乗り出すことになりました。そして登場したのがポケトークです。ロゼッタストーンで培われた語学ソフトのノウハウを、小さなボディにギュッと収縮。しかも特別な設定もなく、世界124か国(現在は133か国まで拡大)で通信可能なグローバル通信にも対応した優れものです。このあまりにも画期的な商品は瞬く間に大ヒットを記録し、今では小型翻訳機でNo.1のシェアを誇っています。
ポケトークはどのような経緯で生まれた?
もともとポケトークはかなり前から構想があった製品だそうです。2000年前後ごろには製品化が検討されていました。が、当時は実現のためのノウハウがなく、見送りになってしまったそうです。初代ポケトークの発売は2017年ですから、構想から実現まで17年もの歳月が流れたということですね。
ではどうしてポケトークの販売が実現できたのか。実をいうと、初代ポケトークはオランダのTravisという企業と共同開発で販売されました。2017年の春頃、Travisがクラウドファンディングで双方向の音声翻訳機の出資を求めていたところ、ソースネクストのある社員がこれに目を付けます。
この話はすぐに日本のソースネクスト社内で共有されました。するとその場でその翻訳機の販売を即決。ライセンス契約をしたうえで、仕様を日本向けに調整し、2017年12月に販売となったのです。発売前から予約が殺到するなど、思惑通り大ヒットの商品となりました。
ポケトークはシリコンバレーで生まれた!?
ですがソースネクストのこだわりがより詰められているのは、次世代機となるポケトークWからでしょう。ポケトークWは初代ポケトークからわずか1年足らず、2018年の9月に発売しています。この機種からは他社との共同開発ではなく、ソースネクストの自社開発になります。初代ポケトークから様々な点をブラッシュアップし、より使いやすくなりました。
ではどうしてここまでのスピード感で次世代機を発売できたのか、そのキーワードは「シリコンバレー」です。ソースネクストの創設者である松田憲幸氏は、2012年ごろからシリコンバレーに移住しています。以前からシリコンバレーに出張することはありましたが、毎回取引がすぐにまとまるので、意を決してシリコンバレーに家族で移住してしまったのです。
シリコンバレーでは、企業の代表同士が家族ぐるみの付き合いをすることがすごく多いといいます。日本では企業を見るのに数字(データ)で判断されることが多いのですが、シリコンバレーでは“家族”の方が良く見られるんだとか。ロゼッタストーンジャパンの買収が決まったときも、ロゼッタストーンのCEOを自宅に招き、家族ぐるみで親睦を深めたんだとか。すると翌日にはもう契約が決まっていたそうです。
こうして外国語学習のノウハウを手に入れたソースネクスト。また国際通信技術を持つ企業にも、シリコンバレーで出会いました。初代ポケトークの販売準備と並行しつつ、新機種を自社だけで開発できるだけの技術も手に入れていったのです。もはやポケトークはシリコンバレーで生まれたといっても過言ではありません。
初代ポケトークの発売後、ユーザーからはたくさんの声が寄せられました。画面が見づらい、文字が小さい、操作が難しい……。ですがポケトークWではこういった意見もしっかりと反映させ、より使いやすい機種として生まれ変わったのです。共同開発ではなく独自開発だからこそできたことですよね。
ポケトークに込められた「言語の壁を超える」という思い。その言葉通り、ポケトークは海を渡った先で生まれました。海外ではいろいろな出会いがあることでしょう。その可能性を逃さないためにも、ポケトークを1台持っておきませんか?